自動車管理についてのあれこれは、オンライン上だけではなくオフラインでも色々なところで知ることが出来ます。しかしそのような情報の中には、既にかなり古いものが混ざっているのも事実です。特にエンジンオイルに関する情報はカーセンターごとに違っていて、いつ交換すればいいのか、何を使えばいいのかなど判断に困る時も出てきます。そこで今回は、自動車管理の為に知っておきたいエンジンオイルについて、ご紹介していきたいと思います。
エンジンの働きを円滑にする為に使う潤滑油、エンジンオイル
エンジンオイルはエンジンの動きを円滑するために使われるオイルです。では何故エンジンオイルが必要になるのでしょうか?一般的に自動車のエンジンは1分に数千回程ピストン運動を行います。この時にエンジンに潤滑油が無いと、ピストンとシリンダーが簡単に摩耗してしまいます。こうなるとエンジンの効率も悪くなり、更にはエンジンの寿命までをも縮めてしまう可能性があります。エンジンオイルはシリンダーとピストンの間を満たし、少ない摩擦でエンジンが円滑に動けるようにサポートしてくれます。またエンジンオイルはエンジン各部位を移動しながら、エンジンを綺麗に掃除してくれる役割もしています。他にも燃焼により作られる酸を中和してくれます。このようにエンジンオイルは自動車の管理において、非常に重要な役割を担っています。
一般的にエンジンオイルの約80%~90%は、ベースオイル(Base Oil)に化学合成剤を混ぜて作られています。基本となるベースオイルをどれにするかによって、鉱物油になるか化学合成油になるかが決まります。原油から精製された鉱物油をベースオイルとして使用すれば、鉱物油のエンジンオイルになります。鉱物油は原油から作られるので、不純物を100%取り除くことが難しく、化学的に若干の不安定要素があります。一方の化学合成油は、化学的に改良されており安定性は高いものの、価格は高くなります。
値段はお手頃だけれども、若干不安定な鉱物油のエンジンオイル
鉱物油のエンジンオイルはベースオイルの製造原価が安く、その分値段も安いです。しかし化学的に不安定なところがあり、高温で粘度が下がり熱に酸化し屑が発生します。特に交換周期を過ぎたまま、長距離、または長時間の運転を行うと、粘度の低下、発生した屑によりエンジンに余計な負荷がかかりやすくなります。このため燃料費が高くついたり、騒音や振動がひどくなる場合もあります。
値段は張るけれど、安定している化学合成油のエンジンオイル
化学合成油のエンジンオイルは、鉱物油の弱点である「不安定性」を改善しています。人工的に機能性を高めている化学合成油を使用している為です。化学合成油は高温でも粘度の低下や、屑の発生を抑える事が出来ます。化学合成油はエンジンオイルの寿命を延ばし、エンジンを保護してくれる長所があります。一方、ベースオイルを作るのに色々な過程を経る必要がある為、値段は高くなります。
エンジンオイルは15,000㎞ごとに交換しよう
「エンジンオイルは5,000㎞ごとに交換しないといけない?」カーセンター等でこのように言われたケースがあるかと思います。新車はもっと早くに交換する必要がある、このような話も聞かれます。実際に走行距離が5,000㎞以下でエンジンオイルを交換すると答えたドライバーが、全体の60%程だったという報告もあります。しかし自動車の製品説明書等によると、エンジンオイルは化学合成油を基準に15,000㎞程、また1年に1度の頻度で交換すればいいという事です。1年に15,000㎞以下の走行距離であれば、1年に1度交換すれば十分でしょう。
鉱物油のエンジンオイルと、化学合成油のエンジンオイルは交換周期が違う
絶対的に決められた交換周期はありませんが、化学合成油の交換周期が鉱物油の交換周期よりも長くなります。一般的に化学合成油は10,000㎞~15,000㎞、鉱物油は7,000㎞~10,000㎞を交換周期とします。使用されるベースオイルに違いがある為に、このように交換周期にも違いが出てきます。
新車はエンジンオイルを早い段階で交換しておく必要がある、と考えている人も多く見かけます。走行距離が1,000㎞になった時点で交換する、というような感じです。これは新車は金属が噛み合う過程で鉄くずが出る、という誤解から来ているかと思います。実際にエンジン内部の異物は、オイルフィルターが濾過してくれます。ですので鉄くずがエンジンに悪影響を及ぼす事は、ほぼありません。また現在はエンジン技術自体も発展しており、部品もより精密になっています。自動車の説明書にある、推奨の交換周期を守れば十分でしょう。